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キッチンに入るとつかさが所狭しと、部屋中を駆け回っていた。
料理が好きで専門学校まで進んだつかさなら、さぞかしここは魅力的な場所に移っただろう。
その姿が昔、自分専用の新型機を渡された自分と少し被って思わず苦笑いする。
「せっかくのキッチンなのに使う機会が無くて残念だな」
「えへへ」
オレの言葉につかさは落ち込むどころか、さらに満面の笑顔。
そして冷蔵庫に手を掛ける。
「じゃ〜ん!」
「なっ!?」
つかさが冷蔵庫を開けるとそこには、一杯とは言わないけど食材が入っていた。
つかさが持ってきたとは思えないけど………
「この前の時にお母さんたちにお願いして、持っていってもらってたの!
ほら調理器具も!」
「……なるほど、だから食事は大丈夫って言ったのか」
「うん!」
つかさにしては手回しがいい、というかオレがつかさをそういう面で過小評価していたのかもしれない。
実際、最近のつかさはよく気が利くし、しっかりしてきている。
こなたがつかさ『さん』と冗談で言ってたけど、的を射ている。
「じゃあ本日のディナーはわたしにお任せあれ〜」
そしてつかさは仰々しくお辞儀をする。
オレとしてはつかさの料理、それもディナーを食べれるのは歓迎ものだけど
ただ、つかさと遊べないのが………、せっかく朝早く出たのに………、まだ昼なのに………。
「シンちゃん?」
「オレもする」
「えっ?」
「つかさがいないんじゃすることないだろ」
意外と言われるが料理は元々得意な方だ。
つかさほどではないけど、足を引っ張るレベルじゃない。
「うん! じゃあ一緒に作ろ!」
それにつかさと一緒だったら何でもいい