「はっ、いけない!」

 つかさがこっちの世界に戻ってきたのは1分くらい経ってからだった。

「一応火加減とかは見てたけど」

「ごめ〜ん、ありがとう」

 ばたばたと次の工程に取り掛かるつかさ。

 大人っぽくなったのは少しだけか、いや、つかさのことだからおっちょこちょいなのはずっとなのかもしれない

 そうずっと



 嘘じゃない

 今この場では逃げたかもしれない、でも言った言葉は嘘じゃない。

 近い未来に、オレは必ずつかさと一緒に



「シンちゃ〜ん、手伝ってー」

「ああ」

 だから今はその未来のためにつかさとの絆を強くしたい。



「あっ」

「どうした」

「雪」

 まだ雪を正面から見るのは怖い。

 でも今目の前にいるつかさのお陰で、それを利用できるくらいにはなった。



「ここは少しの天気の変化でバスが止まるんだってさ」

 どんなに降ってるかは見てはいないけど天気予報では積もって、明日までは降り続けるらしい。

「つまり、イブどころかクリスマスも2人っきりの可能性大だ」

「えっ、二日も?」

「嫌なら、オレがおぶって駅まで歩くけど?」

「……シンちゃん、ひょっとして積もるって知ってたの?」

 つかさの問いに、オレは答えず笑う。



「シンちゃんのいじわる」



 きっとつかさが母親になったらこんな顔をよくすることになるんだろう。

 オレはつかさの笑顔を見てそう確信した。





〜 F i n 〜   






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