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そして放課後、夕日特有の西日が教室を指し、そこにいるのは私とあの方だけです。
とはいっても外では泉さん達が誰も入ってこないように、見張りと称して聞き耳を立てていると思いますが
「皆がいる前だとな
変な勘違いされたら面白くないだろ、お互いにさ」
その言葉に私はなんとも曖昧な笑みを浮べます。
こんなにも好意を出しているのに、あの方は全く気付かない。
私やかがみさんのアプローチの仕方が間違っているのか、それともあの方が鈍いのか、きっとどっちともなのでしょう
「そ、その、いつも、迷惑掛けて……、手間かけさせて、あ、ありがとな………」
今度はちゃんとした笑顔になってしまいました。
こんなにも想いが伝わらないのに、目の前の人を嫌いになれないのは、友人として私の事を気に掛け、
そして私の大切な人達の事も気に掛けて下さってるからなのでしょうね
「それでこれは……、そ、その、誕生日おめでとう、みゆきさん!」
こういう事に慣れておられないのか、いつもと違い慌てた様子であの方は私にプレゼントを渡されます。
「ありがとうございます! 空けてもよろしいですか?」
頷かれるのをちゃんと確認して、私は少しも箱を潰さないように丁寧にリボンを外します。
そして箱を開けると……、これは一体なんでしょうか?
手に取ってみますが、さっぱり分かりません
貯金箱でしょうか?
「それはキュベレイだ」
「きゅ、きゅ、きゅべ、れい?」
「ああ、形式番号AXA―004、装甲はガンダリウム合金、武装はビームガンとサーベルそしてファンネル! これは凄くてだな―――」
あの方はなおも立て板に水の如く、とうとうと専門用語を交え、私の手にある物体についての説明を行なわれます。
言ってることが高度すぎて、ほとんど分かりませんが、泉さんが時々話題に出されるアニメの何かというのは理解できました。
「あ、あの、で、ですが、なぜこれを私に………?」
こういうのは私、というより泉さんの方が喜ばれそうな気がします。
お恥ずかしながら私ではこの『物』の本当の価値が分かりません。
「う〜ん、なんとなく、みゆきさんはキュベレイって感じだから」
その答えを聞いて、私の見えてる世界が少しだけねじれる感じがしました。
私とこのキュベレイに何か共通点があるのでしょうか?
それだけの為にこれを私にプレゼントする気になられたのでしょうか?
さっぱり分かりません、私は本当はからかわれているのでしょうか?