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「あっ、そ、その気に入らなかったか………」
私の反応を見て、そう思われたのでしょうか。さっきまでと違い、しゅんとなられるあの方。
これもあんまり見た事がないお姿です。
「い、一応、手作りなんだけど………、そ、そりゃ、0からってわけじゃないけど、組み立てと、色塗りはみゆきが好きな色に………、
それにパーソナルデカールもぽっく作ったつもりなんだけど………」
子供言い訳のように、指を遊ばせつつ『私用のキュベレイ』の良さを説明するあの方。
そういえば、最近プラモデルに凝っているとおっしゃられていましたね
それにさっき説明していた時の目は光り輝いておられました。
あの方はこういうのが好きなんですね
好きな人が何を好きなのか
それを知れただけでもいいのではないでしょうか?
いえ、『だけ』ではないですね
「そんな事ありませんよ、とても気に入りましたよ」
「ホントか、怒ってないか?」
「怒る理由なんてありません」
むしろとても嬉しいです
このプレゼントは、あの方が私の事を考えながら作ってくださったはずです
そうでないと、色がどうとか、シールをイメージぽっくする、なんて考えは浮かばないはずですから
あの方が私をどう思って下さっているのか、素人目にも綺麗な仕上がりと分かるこれを見たら分かります。
それに
これはあの方が私の為に作ってくださった、世界でたった一つのプレゼント
これを気に入らない女の子がいるのでしょうか?
「シンさん、ありがとうございます」
「い、いや、そう言ってくれたらそれでいい………。反応見てちょっと焦ったし」
「すみません」
私が笑いながら謝るのを見て、あの方にようやく笑顔が戻りました。
きっと私はこの『プレゼント』を見る度に、今日のあの方の沢山の顔を思い出すことでしょう。
ということは部屋に入ったら目に付くところに置いた方がいいですね
一体どこにおきましょうか
今日の夜は、キュベレイ、のせいで夜更かししそうです
〜 f i n 〜