普段は素通りをしているショッピングモールの店をオレは1件、1件時間を掛けてまわる。

 こんな面倒臭い事をする理由は決まっている。



「ダメだ、わけわかんなくなってきた………」

 記念すべき10件目にして、オレはとうとう音を上げた。

 根気がないと思うかもしれないけど、明らかに女が行くような店をはしごしたんだから逆だ、オレは今褒められてもいい

 とはいえ、プレゼントは決まっていないというのは変わっていない。

 これが男なら適当に自分が欲しそうな服なりを買って渡せば、そうそう外れることはないだろうけど、あいにくみゆきさんは女だ。

 元の世界に彼女がいたとはいえ、そんなイベント事をやる余裕もなく異世界に飛ばされてきちまったから、何を渡していいのか皆目見当がつかない。



「かがみのやつ」

 オレは昼休みの光景を思い出して、小さく唸る。

 恥を忍んでプレゼントのことでかがみに相談したら



『みゆきが欲しそうなもの? 物的な物はそんなにないと思うしねー………

 やっぱり心が込もってるやつが一番じゃない?』



 なんだよ!? 心が込もってるって!? わけわかんないって!

 そんなものがそこらへんに転がってるわけないだろうが!!

 『手作りの店』とかならそういうのがありそうだけど、そこに売ってるのはオレが作ったわけじゃないから、心なんて………

「そうか! オレが作ったらいいんだな!」

 腰掛けていたベンチから立ち上がった勢いそのままにオレは歩き出す。

 時間的にもそんなに余裕があるわけじゃない、でもこれしかない。

 オレの気持ちを伝えるプレゼントはこれしか!





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