「みゆきさん、みゆきさん、上手くいったよ〜」

「えっ、な、何がでしょうか?」

「あーそういうことか」

 泉さんの言葉の意味を、全くわけが分かっていない私とは対照的にかがみさんが納得の声を出されます。

 泉さんに尋ねる視線を送りますが、泉さんはただいつもの様に穏やかな笑みを浮べておられるだけです。



「休み時間にシンが教室に来てね、『プレゼント何がいいと思う?』って聞いてきたのよ」

「えっ、そ、それは、私の………?」

 泉さんに代わって、説明をしたかがみさんが少し苦笑混じりに頷かれます。

 かがみさんとは親友であると同時に恋敵でもあるので、そんな顔になってしまう理由も大いに分かります。



「泉さんありがとうございます」

 おそらく泉さんのことですから上手く説得して、あの方にプレゼントを渡す気にさせて下さったのでしょう。

「いやいやみゆきさん。わたしは誕生日を教えただけだから

 シンが渡そうと思ったのは、みゆきさんのことを悪く思っていないからだよ」

「えっ、そ、そうなんですか………?」

 お恥ずかしながら、自分でも顔が真っ赤になるのが分かります。

 あの方にどう思われているかは分かりませんが、最低でもプレゼントを渡そうと思うくらいの好意を持って下さっている。

それだけでも、私は銀河の果てまで飛んで行けそうなくらいの気持ちの高ぶりを覚えます。



「うんうん。みゆきさんのそんな姿を見してもらったら、わたしもシンに教えたかいが有るよー」

「あんたは見合いを勧める近所のおばさんか

 でも良かったわねみゆき」

 微笑んでくるかがみさんの顔には、嫉妬の色は全く見えず、本当に私のことで祝って下さっておられます。

 かがみさんが恋敵でよかった、と本当にそう思わせてくれます。

 かがみさんの様な素敵な方のおかげで、まるでスポーツを楽しむ様に恋愛を楽しむ事が出来るのですから



「はい、ありがとうございます」

 だから私も後ろめたい気持ちがなく、感謝の言葉を言います。

 堂々としていないと、どんな時でも親友として接してくださるかがみさんに失礼ですので



「でも、まだ決まったってわけじゃないから」

「はい、それはもう」



 笑顔と火花が私とかがみさんの間でぶつかります

 とはいえあくまで勝負は勝負ですから





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