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「だろ? 大事なのは今なんだ、今があるから未来や過去に意味があるんだ
だからみゆき、オレの『今』に関する重大な悩みを聞いてくれ」
「……悩みですか?」
みゆきの重いトーンと一緒くらいにオレは重々しく頷く。
「お前の誕生日プレゼントは何がいいんだ?」
…………
外の雨の音がやたらと耳へと入ってくる。
いや、分かってる。シリアスな会話をした後にする話題ではない事も、空気を読めてない質問してるのも分かっている。
だが元々オレはそれを聞くために、来たくもない自習室に1人で足を運んだんだ。
「分からないんだ、みゆきの欲しい物が! みゆきはお金持ちだし、貧乏なオレで買える物全てもってるだろうし………」
「いえ、もうもらいました」
オレの質問に怒る事も呆れる事もせず、みゆきは何時もの微笑みを浮かべる。
ただ、オレにはなんの事だか全然意味が分からないんだが………
「あっ、晴れましたね」
みゆきの言葉に外を見ると、雨が上がり、日が雲の隙間から差し込んでいた。
きっと外に出れば、空気が心地よいだろう
「って、誤魔化すな!! 言えよ!」
「秘密です」
そう言ってみゆきは人差し指を自分の口に当てる。
「……ああ、そうかい! 貧乏人のオレからは貰うものがないってんだろ!?
もういい!寝る!」
オレはそう言うやいなや机に突っ伏した。
逆ギレと取るなら取ればいい!
オレだけあんな恥ずかしい事言わされたのに、みゆきは答えないなんてズルすぎる
「シ、シンさん!? 自習はどうしたんですか!?」
「もう読んだ!」
「シンさん!………」
不貞寝を決め込み意識が薄れるオレにみゆきの声がうっすら響いた。