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やはりそうなのですね………。
あの方の言葉を聞いて私はもう少しで泣いてしまいそうになりました。
あの方は元々私達のいる世界とは違う世界から来た人です
だからあの方が自分の世界に帰りたいと思うのは当然です
だからここで泣いても仕方がないのです。それは優しいあの方を困らせるだけだから…なのに、それなのに………
「でもな」
あの方が優しく私の手を握って来られました。
「あっちの世界が平和になって、オレの役目が終わったら…オレは絶対にこっちに帰って来る。絶対にだ」
あの方の目は先程言った時よりももっと強い決意が宿っていました。まるであの方の瞳の色と同じ紅の炎のように
「って、いくら仮定の話をしても、意味ないよな
オレはそもそもあっちにいける方法が全然見つかってないんだし」
私の手を握っていたのが恥ずかしくなったのか、それともご自身の言葉にでしょうか、あの方は明後日の方を向いてまくしたてます。
「そうですね」
そんなあの方の様子を見て私は笑って頷きました。