5
放課後、気付いたらこなたの姿は消えていた。そしてつかさも。
それにいつもやってくるはずのかがみも来ない。
どうやらみゆきさんの件はオレに任せられたらしい
その信用を裏切るわけにはいかなかった
いや、裏切りたくはなかった
「みゆきさん、途中まで一緒に帰らないか?」
「はい、お願いします」
そう答えるみゆきさんの顔はいつもと変わらない様に見える。
でもみゆきさんって、あんまりそういうの表情に出さないから、安心は出来ない
さてどうやって切り出すか?
オレは歩きながら攻略の糸口を考えていた。
「かがみも心配してたぞ?」
結局オレは小細工無しの正面突破を選んだ。
……といってもオレが使える作戦がこれしかないというのが事実なのだが
「えっ、かがみさんがですか?」
「ああ、みゆきさんは何か言いたい事があっても、黙ってる時が多いだろ?
そりゃあんまり喋りたくはないだろうけどさ、せめてこなたや、かがみ、つかさには相談したらどうだ?
いつも無理させてるんだから、たまには逆になってもいいんだと思うけどな」
やっぱりこういうのは苦手だ
どうも頭で考えてる事の万分の一も伝えられてない気がする
その証拠にみゆきさんはポカーンとした顔でオレを見てる。
ごめん、皆、ミッション失敗した
「シンさんは?」
「えっ?」
何時終わるとも分からない沈黙は意外に早く終わった。
「シンさんは私が困っていても助けては下さらないのですか?」
「そ、そんな事あるもんか! オレに出来る事だったらするつもりだぞ!?」
「ありがとうございます」
みゆきさんは丁寧に頭を下げる。
「ふふっ」
そしてその後みゆきさんは笑みをこぼした。