「つかささんにも同じことを言われました」

「つかさに?」

 私は頷きます。

 そして泉さんもきっと、そう思っておられるのでしょう。

 過ぎたるはおよばざるが如く

 本を読んでいても実際に体験しないと分からないものがあります。

 今日一日で私は多くの知らないことを教えてもらいました。

 恋のライバルに、親友に





「え〜と、それでだな

 みゆきさん何か悩んでるんだろ? 何かオレに出来る事はないか?」



 そして目の前の方に



 本当に眩しい位に真っ直ぐで、強くて、優しい

 ですが、今の場面で他の女の子の名前を出すのは駄目ですよ?



「では少し無理を御頼み出来ますか?」

 私はそう言って、今日何回目かになる、鞄からチョコを出す作業をします。



 今は私との時間なんですから



「チョコレート、受け取ってもらえますか?」

「なんだ」

 あの方はなんの迷いもなく、私の手からチョコを受け取ります。



「全然無理な事じゃないじゃないか」

 あの方は私に笑いかけてこられます。

 もちろん、私は正視する事が出来ません。

 眩し過ぎる、という事もありますが、これ以上見るとどきどきのしすぎで倒れてしまいます。

 さすがにそれはあの方にご迷惑です

 ですがあの方の顔を見ていられないのは残念です

 こんな機会はそうそうにないのですから



 この気持ち、やはり本を読んでも味わう事は出来ません。



 とっても幸せです





〜 f i n 〜






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