「なんだよ?」

「なんであんたはいきなりそんなに不機嫌なのよ?」

「お前が来たからだ」

「何よ、それ!?」

 かがみが詰め寄ってくるけど、あいにくいつもみたいにそのケンカを買ってやる暇は今はない。



「用件なら早くしてくれよ。こっちは一大事なんだ」

「何かあったの?」

 オレの真剣な様子にさすがのかがみも角を引っ込める。

「みゆきさんが何か悩んでるみたいなんだ」

「みゆきが!?」

「ああ、つかさには何か話したんみたいだけど…オレにはさ

 それでそれを聞こうとしたら、どっかの誰かに呼び出しをくらったって事だよ」



「あちゃ〜タイミングが悪かったかー」

 オレの皮肉に動じる事なく、かがみは手を額に付ける。

「だろ?」

「あのさ、みゆきって遠慮しすぎと思わない?」

「おい、いきなり悪口かよ」

 オレはさっきとは違い本気でかがみを睨み付ける。

「そうじゃなくて!

 みゆきって自分より、私達を優先する事多いじゃない? って意味よ」

「まあ、そうだな………」

 日頃のみゆきさんの行動を思い出しながらオレは頷く。



 オレの無鉄砲、こなたの無計画やつかさのグダグダ感、いつも尻拭いをしてるのはかがみやみゆきさんだ。

 特にみゆきさんはかがみみたいに文句も言わずにそれをする。

 だからそんなみゆきさんにオレもついつい頼ってるところはある。



「私達の間ではみゆきに遠慮なんかしないでほしいの。そんな事してたらみゆきが損ばっかりする

 特にこういうのに関して………、あんたもそう思うでしょ?」

 『こういう』のが何を指しているのかがよく分からないけど、かがみの考えには同感だ

「あんたからもみゆきにそう言っといてよ。多分私が言うよりもあんたから言った方が効果的だから」

「そんなもんなのか?」

「そんなもんなの!」

 オレが言おうが、かがみが言おうが変わらない気がするけど、かがみは照れ屋だからな、こういうのを面と言うのは得意じゃないんだろう



「そっか、言っとくよ。ありがとな、かがみ」

「べ、別にお礼なんていいわよ! わ、私もみゆきの事は気になるしね」

「ところでお前、オレに用ってなんだ?」

「えっ!? あ、あの、………、そ、そう! 国語! 国語の教科書貸して! クラスのやつがそれを忘れててね」

「ああ、いいけど」



 その後、かがみはまるで逃げる様に自分の教室に帰って行った。





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