絶対に何かあるだろ



 みゆきさんの様子から明らかに、オレに何か言いたそうだった。

 みゆきさんには日頃何かと助けてもらってるし、何より困ってるのを放ってはおけない。

 ただ本人が言わないのに、問い詰めるのも気が咎める。

 オレはどうも人を不愉快にする才能がコーディネートされているらしい

 あんまり無遠慮に聞いて、みゆきさんに距離を置かれるのだけは避けたい。



 取りあえず、言い出すまで待つか

 みゆきさんは大概の事なら自分で解決する事が出来る

 本当に困った事があって無理なら、オレやかがみに相談するだろう





「みゆきさん、本当に何もないのか?」

 授業の一つを犠牲にしてまで出した結論を、オレはあっさり無駄にする行為に出た。

 ……いや、気付いたらみゆきさんの席でこんな事を言ってたんだ………、信じてくれ………



「い、いえ、本当に………」

「本当か?」

「いえ、あの、その………」

「言ってくれ、オレにも何か出来るかもしれないだろ?」

 みゆきさんが観念したかの様に溜め息を付く。

「おーいシン、かがみが呼んでるぞー」

 そしてみゆきさんが言葉を吐く直前に白石の言葉が飛んでくる。

 ……間の悪いやつだな………。



「どうぞ、かがみさんをお待たせしては悪いですし」

 みゆきさんは満面の笑みでかがみのいる方向に視線を向ける。

「あ、ああ………」

 かがみを待たせるわけにもいかず、オレは完全にみゆきさんに逃げられた。





戻る   別の日常を見る   進める