「5日か…空いてるぞ」

 オレは自分の手帳を見ながら、電話相手に答える。

『では申し訳ございませんがが、お願いできますか?』

「了解。じゃあ8時にみゆきの家に行くよ」

『はい、お願いします。それでは失礼します、お休みなさい』

「ああ、お休み」

 オレは電話を切ると、手帳の5日に先ほどの予定を書き込む。

 この世界に来て初めてのG.W.は今のみゆきとの予定で一杯になった。



「しかし、凄い偶然だよな〜誰とも予定が被らないなんて………」

 先ほどの5日のみゆきとの約束以外でも、3、4、6日共に、

つかさ、かがみ、こなたと別々に約束しており、オレは学校に入ってる時より忙しい。

 だけどそれは決して嫌じゃない。むしろ楽しみにすらしてる自分がいる。



「シーン、電話終わった?」

「ああ。5日だけど多分オレ晩飯は………」

「おkおk。みゆきさんと山に行くんでしょ?」

「ん? なんで知ってるんだ?」

「えっ!? い、い、いや〜連休前にみゆきさんがそんなことを言ってたような〜」

 オレの指摘にこなた誤魔化すように手を振る。

 なんだ? なんかまたイタズラでも計画してるのか?

「してませ〜ん!」

 オレの顔にそう出てたのか、こなたは頬を膨らます。

「分かった、分かった。

 そうだ、こなたキャンプ用具ってあるか?」

「あるけど…シン泊まりなの?………」

 なぜか心配そうにオレを見てくるこなた。



「べ、べ別に、みゆきと泊まるわけじゃない! ちょっと考えてる事があるんだ」

「そ、そうなんだ………」

 オレの説明では納得できないのか、こなたは依然心配そうにこっちを見てる。

 ったくお子様だな、こなたは。

「6日のお前との予定までには絶対に帰ってくるさ」

 オレは聞き分けの悪い『妹』にそう言うと、くしゃっと頭をなでる。

「うん! 絶対だよ! 遅れたら罰金だからね!」

 安心したのか、こなたはそこでようやく笑顔になる。

 どうやらこなたにしても、オレと出かけるのを楽しみにしてくれてるみたいだ。

 だったら、人をアッシー兼荷物持ちに使うのは止めてもらいたいんだが………。



「あと、そうだ。つるはしや懐中電灯、コンパスとかあるか?」

「シン、樹海にでも行くの?」

 オレの質問にこなたは唖然とした顔で返した。





「シンさん、凄い荷物ですね………」

 みゆきがオレのリュックの量を見て、目を丸める。

 比率にするとみゆきのを1とすると、オレのは3。3倍になっているとしたらもちろん素早さではなく、重さだろう。

「気にしないでくれ。もしもの時の備えってヤツだ」

「はぁ………」

「じゃあ、行くぞ!」

 やや釈然としないみゆきにオレは気合の入った声を上げる。

「はい…ですが…ここからだと電車で二時間、バスで一時間の距離ですので山に登るのはまだ先です」

「えっ、ウソ………」

「一応他県ですので………」

「…………」



 オレが乗る電車乗る電車で奇異な目で見られたのは言うまでもない。





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