「わたしのこと、きらいなんですか!? そうですね! そうなんですね!?」

「いやいやいや、あるわけないだろ!? そんな事!」

「うそです! うううううぅっ………」



 いつもの優雅さとは違い子供の様に泣くみゆき。



 やはり戦いなんてするもんじゃない

 必ず予想外の悲劇が生まれる

 それは大きかろうが、小さかろうが関係ないんだ



「シンさん! なにか言ってください!?」

「えっ、あっ」

 そんな戦いについての哲学なんてのは今はどうでもいい

 今はこの場を無事に平和的に解決しなきゃいけない



「ご、ごめん、その」

「ごめんってなんですか………、やっぱりわたしのことがきらいなんですか………?」

「いやいやいや!」

 みゆきは完全にタカが外れている。

 こんな事態になるんだったら、気をひこうなんて思うんじゃなかった。

 自分のやった過ちに頭を抱えたくなるけど、生憎今はそれは許されない。



「ごめん、ふざけ過ぎた! 本当にごめん!」

「……ふざけ過ぎた………?」

「いや、その、みゆきが全然かまってくれないから………その………」

 自分の嫉妬を正直に言うほど恥ずかしい事はない。

 しかも原因は自業自得、泣くに泣けない。



「そんな事で、そんな事で………」

 みゆきの顔が泣きの赤から、怒りの赤へと姿を変える。



 ぷい



「あの〜みゆき?」



 つーん



 背を向けたみゆきはオレの言葉になんの反応もしてくれない。



 マズイよな?



 絶対マズイよな?



 ぜっっっっっっったいマズイよな、コレ?



「みゆき、ごめん、ごめんなさい!!

 なんでもするから! 土下座します!

 デスティニーがフリーダムとジャスティスにボコボコにされるジオラマ作ります!」

「いりません!」

「は、はい」



 こういう事態は全く頭になかった。

 ただ頭には警報アラームが鳴り響くだけで、何も思いつきやしない。



 完全なるデフレスパイラル





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