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駄目だな、全然駄目だ
オレの攻撃の仕方が稚拙なのか、それともみゆきの防御が鉄壁なのか戦局は完全に膠着状態になってしまった。
いや、こういう場合攻撃しているオレの方が劣勢といえるだろう。
それにしても、まさかここまで動揺しないなんて
ここまでだと、オレの事に興味すら湧いてないんじゃないかと思えてくる。
面子の為の戦いだったけど、パンドラの箱を開けてしまった様な気分になってくる。
だけどもはや引き下がれない
こうなったらオレの想いが届くまでやってやる!
とはいえ、残りの弾は少ない
ここからは慎重に行くべきだ
オレは大きく息を吐く。
そして何度目かの攻撃を仕掛ける。
「そうだ、みゆき―――」
しかし、戦局は予想外の局面を迎えた。
いきなりみゆきがこっちを振り向いたのだ。
「シンさんのいじわるぅ〜!」
どうやら気付かぬ内にオレは戦線を突破していたのだ。
「えっ、ちょっ!? みゆき?」
「どうして、どうして、そんなにイジワルするんですか!?
わたしがなにか気に入らないことしましたか〜!?」
「えっ、い、いや………」
「だったら、どうして、ひっく、どうして、そんなことばっかり言うん、ですかぁぁ〜!?」
「えっ? えっ?」
完全に本気泣きモードのみゆきにオレはただ狼狽するのみ。
予想以上の勝利、と言えば聞こえが良いが、要約するとオレはみゆきを泣かしてしまった。
これはオレの望んだ形じゃない、オレはただちょっとみゆきにヤキモチを妬いてもらいたかっただけなのに………