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ちゃんと普通に言えたでしょうか?
シンさんに動揺を気付かれていないでしょうか?
それがただただ心配です
本当は凄く残念です。シンさんと旅行に行けない事、ずっと前から楽しみにしていたのですが………。
でもそんな事を言ってもシンさんを困らせるだけです。
きっとシンさんだって残念がっておられているんですから。
私は動揺を悟られない為に、顔を本で隠します。
「それでな、ゼミ旅行に行くとこ凄くいいところらしいぞ」
私の様子に気付く事無く、シンさんは嬉しそうにゼミ旅行に付いて話されます。
「そうなんですか、どういったところなんですか?」
動揺を出さずにいつも通りを心掛ける。
それはとても難しい事です。
「ここだよ、ここ。自然がいっぱいあるし、涼しいんだってさ」
楽しそうに雑誌を開けながら説明されています。
その場所は私も話では聞いた事があります………。私もシンさんと行きたいです………。
いつもは微笑ましいシンさんの様子も今ばかりは辛いです。
でも我慢、です
「そこに詳しい女の子がゼミ内にいてさ、色々案内してくれるって、楽しみだよな」
そ、そんなっ!?
私の中に稲妻が流れます。
シンさんが誠実な方というのはよく分かっていますが、過ちが全くないとは言い切れません。
夏は開放的になるというのは心理学的にも立証されています。だからといって、そんな些細な事で目くじらを立てたくありません。
シンさんから見たら他意のない言葉という事はそれこそ良く知っています。
それなのに、そんな事で文句を言えばシンさんに神経質な口うるさい女だと嫌われてしまいます。
でも、我慢です、我慢しないと
「あっ、土産いるよなー、そうじろうさんに、こなた、ゆたか、かがみ、つかさ、みなみ、みさお、あやのに………予算やばいなー」
私の名前がなかったのは、どういう事なんでしょうか?
今まで色々と上げてるから必要ないという事なのでしょうか?
どんなものでもいいんです!
シンさんが私の為に選んでくれた、それだけで私は嬉しいのですから………
でも言えないです………、そんなまるで物をせびる様な事は
我慢、がま………、出来そうにないです、というより出来ません
私の視界はまるで雨に打たれた時の様な状態なのですから