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ならばここらを散策に、と歩いてみたものの、ものの20分で飽きてしまった。
そりゃ当然だ。
もう学校に通い始めて1年以上、今更そんな暇を潰してくれそうなのがあるわけがない。
「大人しく帰るか」
諦めて元来た道を戻っていると、車線を隔てて見慣れた少女を見つける。
岩崎みなみ。年はオレより2つほど下で妹ともいえるゆたかとは大がつくほどの親友。
オレもそういった関係上顔なじみだし、オレの中ではそれ以上の存在だ。
かといって、道路を隔てていってまで会話をするネタがオレ達にはないし、
それにみなみがゆたかと一緒に帰ってないのは何か用事があるからかもしれない。
そんなことを考えてるうちにみなみが気付き、オレに小さく会釈をする。
オレも慌てて会釈。
そしてオレ達2人の視線が合う。
…………
ヤバイ、変な間だ
「ゴリゴリのバズーカ!」
元気一杯の声が突然、みなみの歩道側から聞こえた。
見ると小さい男の子が、車道の真ん中に躍り出ていた。
何してんだよ!?
しまった!
同時に生まれる2つの感情。
考えていたせいでオレは不覚にも、走り出すのが遅れていた。
迫る車、男の子の方はそれに気付いたけど恐怖で竦んでいる。
いくら力を最大限に使ってもこの距離じゃ―――
だけどみなみは違った、オレよりも先に男の子に気付きもう駆けだしていた。
「みなみ―――!」
みなみは男の子に飛び込む。
そしてオレは叫ぶ、みなみにその声が聞こえたのだろうか?