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「なあキミ、1年生だよな?」
「……そうですけど…何か?」
小早川さんを校門で待っていると、男子生徒が私に声を掛けて来た。
さっきの質問から上級生の様だけど………。
「小早川ゆたかって子を知らないか?」
「……小早川さんの知り合いの方ですか?」
「あー知り合いというか、なんというか………」
私の質問に言いよどむ男の人、……怪しい
その人は学ランの一番上を外し、襟も立てているし、目つきも鋭く、口調も荒い。
何より他の男子生徒とは纏っている雰囲気が違う。
恐らく不良と呼ばれている人だ…さっきの話から、小早川さんを狙っている?
「と、とにかく、小早川ゆたかの場所を知らないか?」
小早川さんの事が聞けないから男子生徒は焦っているようだった。
これは間違いない…こんな人を小早川さんに会わせる訳にはいかない! 私が小早川さんを守らないと………。
「……し、知りません………」
「……そうか、先に帰ったのか?」
この様子だとどうやら今日のところは諦めてくれるみたい。
でもこの人は小早川さんを付け狙っているみたいだし、
同じ高校に通っている以上この人と小早川さんが会ってしまうのもそう遠くはないだろう。
どうすれば…誰か相談できる人は………。
私の頭に、幼い時から姉代わりとして私を可愛がってくれていた人が思い浮かぶ。
そうだ、みゆきさんなら………。
「岩崎さーん」
私の考えはその声によって中断される。
小早川さん!? しまった!!
男子生徒の対処法を考えていたせいで、私は小早川さんが近くに来るまでその存在に気付かなかった………。
「ごめんね、天原先生とお話してたら…あれ、シンお兄ちゃん?」
「よっ、ゆたか」
「え………?」
私の不安を余所に、小早川さんと男子生徒はお互い笑顔で手を振り合った。