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「あっ、そうだ!」
「……どうしたの?」
放課後私達が一緒に教室を出ると、小早川さんが声を上げる。
「岩崎さん先に校門で待ってて、わたし保健室にお礼を言って来るから」
「……でも………」
小早川さんの言葉に私は頷くのを躊躇う。
小早川さんはさっきまで気分が悪かったのに、一人で行かせる訳には………。
「大丈夫だよ。お礼を言うだけだし、それに岩崎さんと天原先生のお陰でだいぶ良くなったから」
そう言って小早川さんは眩しいまでの笑顔を私に向ける。
「わ、分かった……私は急いでないから…ゆっくり行って来て………」
お礼を言われた恥ずかしさと向けられた笑みがあまりに眩しかったから、私は少し冷たく返してしまった。
「うん! それじゃ岩崎さん後でね!」
小早川さんは手を振って歩いて行った。
小早川さんと出会ってまだ二週間くらいなのに、どうして彼女の事をこんなにも気にするのだろう。
いつ倒れるか心配だから? ……違う
私は性格上人と話をするのが苦手、だから周りの人といらぬ衝突が起きやすい。
だけど、小早川さんはそんな私に話しかけて来てくれた。
私の事を凄く優しいって言ってくれた。私に手を差し伸べてくれた。
だから私は守りたい、小早川さんを。高校になって出来た親友を………。