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「岩崎さん、ごめん今日行けなくなった〜」
田村さんがやってきて私に頭を下げる。
「……どうかしたの? ………」
「部長が納本日間違えててさ、今日中に書き上げろだって〜
ホントいきなり天国から地獄だよ〜」
「……き、気にしないで…人には事情があるから………」
目は虚ろで涙を流してる田村さんを見ると何も言えない………。
「おはよーみなみちゃん、田村さん
どうしたの?」
「田村さんが今日来れなくなって………」
「ごめん! 本当ごめんね! この埋め合わせはきっとするから!」
「そうなんだ……残念だね………」
「うん………」
私達に少しの沈黙が流れる。その沈黙を払いゆたかが口を開く。
「変わり、っていったら変だけど…お兄ちゃんを呼んでもいいかな?」
「先輩を?」
「うん、お兄ちゃんがいると私も長く遊べるし、……やっぱりダメかな?」
「そんな事ない、………ゆたかお願い出来る?」
「うん! ありがとう、みなみちゃん」
きっと先輩もゆたかのこの笑顔に押し切られたんだろう…先輩はそういう人だから………。
「はぅあー!! 噂の小早川さんの兄代わりが来るというのにー!! せっかくのネタがー! ネタがー!
バカ! こうちゃん先輩のバカ!!」
私とゆたかの会話を本当に悔しそうに田村さんは聞いていた。