「ふがっ!」

「やっと起きたか」

 寝ぼけた眼を声のする方に向ける。そこにいるのは燃える様な瞳が特徴の美少年。ただし性格に難あり。

「いや〜夢を見てたよ。みんながわたしとひよりんの誕生日を祝ってくれたって夢」

「つい1時間前の事実だ」

「へっ?」

 なるほど、周りを見渡すとパーティの後っぽい。

 どうやらパーティの最中に寝てしまったらしい。

「あ〜みんなに悪いことしちゃったねー」

「だから夜に言っただろうが」

「ごめんって」

 恐らく、わたしとかがみのやりとりを聞いてたんだろう。シンが家に住んでる時と同じ調子で嗜める。

 まあ半分はそうなんだけどね。半分は違うんだよ。



 これでも草木が眠る時間にはベッドに入ったんだよ。

 でもシンに久しぶりに会える、そんな事だけで興奮しちゃって寝られなかったんだよ。

 てなことは恥ずかしくて言えるわけがない。

「なんか飲むか?」

「うん、じゃあお茶」

 そんな私の想いなんかに気付く様子もなく、慣れた様子で冷蔵庫からお茶を取りだすシン。

 ほんと鈍チン。



「ほい」

「ん。 そういえば皆は? もう帰ったの?」

「カラオケに行った。っていうかお前が起きたから、オレ達も行く予定」

「なるほど」

 それをシンに指示したのはきっとかがみ。

 私の誕生日だからシンを側にいさせてくれたんだろう。

 まあ逆に言えば、これだけしたんだから抜け駆けはするなって意味もあるのかな。

「……どうする? もう行くか?」

「………?」



 少しシンの言葉に違和感。



「どったの? シンは行きたくないの?」

 そう思った時には私はもうすでに聞いていた。

「そういうわけじゃないんだけどさ………、そりゃ今日の主役はお前だから、お前は行った方がいいと思うけど………」

「はっ? 全然話が見えないんだけど?」

 分かったことはシンがなにか悩みを持ってるってことだけ。きっとそれは多分小さな悩み。



 好きな人がいるけどどうやって、想いを伝えよう



 みたいな私と一緒で小さいけど重要な悩み。



「あ、あのさーこなた―――」



 ♪ 誰だれだれが――♪



 シンの携帯が鳴った。





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