ドアを押し破るようにして外に出たオレを待っていたのは、大量の家だった。

 だが、それが家と分かるのはなんとなくなだけで、その形状はオレは見たことがない

 見知ったものはないかと思わず上を見上げると、闇が広がっていた。そしてまだらに光る物が少し。



 違う



 オレが前に見た夜空にはただ闇しかなかった、まるで宇宙が無限の力を見せ付けるように

 星が地上から見えることはオレも知ってる、だがそれは技術を得る変わりに見えなくなってくる。

 こんなにも星空は見えないはずだ、世界は

 そして飛び出した時に感じた空気、風、どれもオレが地上に降りた時より、澄んでいた。

 地上のどこもは先の戦争によって汚れきっているはずだ

 そしてそれはプラントのコロニーではとても生み出せない自然のもの

 あの家で見せられた数々の信じられない光景…あの時のレイの言葉は夢じゃなかったのか………?

 それともオレがまだ悪い夢を見てるのか?

 いやこの感覚は夢じゃない



 でもそれが分かったところでなんだって言うんだ?



 この世界には何もない、守ろうとした世界も、彼女も、戦友も、顔を知ってるものさえも

 そしてなぜオレがここにいるか、なぜレイがこんな事したのか

 分からない事は多すぎるのに、分かる事はオレが今途方にくれてる事だけだ



「ちょ、ちょっと!? 大丈夫!?」

 こっちに近づいてくる2人の方を向く気力さえ湧かなかった。

「……なんで…なんで、こんなことに………?」

 オレの言葉は澄んだ風にかき消されていった。





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