10
目を開いて最初に入ってくるのは見慣れない天井だった。
一瞬自分がどこにいるのか分からなかったが、すぐに思い返す。
「……ここは違う世界なんだな」
自分の呟きなのにまるで他人が言っている様に感じた。
どうやらオレはショックとケガのために、あの後また気を失ってしまったらしい。
あの程度で気を失うとはFAITHの名が廃るよな
オレは自嘲の笑みを浮かべ、立ち上がる。
あの時オレはこれは夢だと、起きれば元の世界に戻れると心のどこかで思っていた。
しかし現実はやっぱり違った。変化といえば日が明けたくらいで、窓の外から見える光景は相変わらず見た事のないものばかり
鳥のさえずりが聞こえる。
これがオレの起きた原因らしい、それは今までの生活からは有り得ないものだった。
そう。ここは何もかもが違う
こんこん
「おっ、起きてるね〜おはよー」
ノックと共に入ってきたのは青い長い髪の子供だった。
どうやら学校にでも行くのか、昨日の格好とは違い制服らしき服を着ていた。
スカートを履いてるところを見るとコイツ、女だったんだな
「何か様か?」
「様か? はないじゃん、朝ごはんが出来たから呼びに来たんだよ」
「そんなものいるかよ、お前達だけで食べればいいだろ!」
「朝っぱらからテンション高いね〜
まあそんなこと言わずに、せっかくきみの分も作ったんだし、ね?
それにお互いの自己紹介もしないといけないじゃん」
少女は緊張感のない顔で言ってくる。
昨日の今日だぞ? コイツまだ寝ぼけてるんじゃないだろうな?
「アンタ達の事を知ってもなんの得にもならないだろ」
グー
そう言った瞬間にタイミング悪くオレの腹が鳴る。
少女の方を見ると勝ち誇った顔をしてる。
「分かったよ! 行けばいいんだろ!? 行けば!!」
「は〜い、いらは〜い♪」
オレの言葉に少女は満足そうに頷いた。
「やあ、おはよう」
すでにリビングには男が待っていた。
どうやら世界は違っても朝ごはんの内容はどこも同じらしい
だけどなぜか分からないがこの食卓には何か違和感がある。それがなんなのかは分からないけど……
「ほらほら、座って座って」
「分かってる、命令するな!」
少女に促される形で渋々オレはイスに腰掛けた。