「なんだ、まだ起きてないのか………」

 部屋に入ると、少し前と変わり映えしない光景にわたしは少しがっかりする。

 普通はもう起きてて、入ってきたわたしに『ここはどこだ?』とか聞く場面なのに………

 空気が読めてないね〜まあ、シン・アスカだし………

 わたしは名目上の理由ではご飯を持ってきたのだから、渋々それを机に置く。

 この部屋はほとんど物置代わりに使っていたので、机に少し埃がかかってるけど、

確かコーディネイターは病気にならないから、大丈夫だと思われる



 しかし本当に起きないなー。さっきもご飯をわざと音がしたように置いたのに

「つまんなーい」

 わたしはそう言うと彼に背を向け、部屋を出て行こうとする。

 その時だった。今まで寝ていたと思われたシン・アスカがいきなり飛び上がるように起き上がり、

わたしの首にアームロックをかける。



「……答えろ、ここはどこだ? お前は何者だ? 捕まえたのはオレだけか?」

「……そんなにいきなり聞かれても答えらんないよ」

 わたしは愚痴るように呟く。

「うるさい! いいから答えろ!!」

「ちょ! 耳元で怒鳴らないでよ〜」

 もうちょっと紳士的に…無理だよね〜

 仕方ない少し黙らせよう

 シン・アスカは怪我のためか、はたまたわたしが女の子だと思って油断していたのか、

わたしの首にかかってる腕にほとんど力を入れていない。

 しかしその油断が命取り! そんなんだからきみはあっさり負けるのだよ!

 わたしは自分の両腕を掛けられてる腕に掴むと、体を下に滑らす。

「なっ!?」

 シン・アスカが驚きの声を上げるが、遅い!

 その時にはわたしはすでに投げの体制に入っていた。



「ふはっ、くらえー!」

 こう見えてもわたしは合気道経験者。親友からは無駄能力と言われてきたが、そんなことはないのだ!

「………!!」

 しかしわたしは投げることをせずに、後ろに飛んで距離を取る。

 タイミング的には投げれたのに出来なかった、一瞬だけシン・アスカと目が合った時に感じた威圧感に気圧されたからだ。

「なるほどな…なめてかかるな、って事か」

 そう言ったシン・アスカの目がさっきよりも鋭くなる。

 そしてわたしは気付く、わたしと目の前に立っているアニメキャラとの力量の違いが

 さっきの不意打ちで決めておかないといけなかった

 今度はシン・アスカの方も油断しないだろうし、わたしの勝てる可能性はゼロに等しい

 何よりわたしはシン・アスカの殺気に射すくめられて動けなくなっていた



 怖い



 初めて味わった自分に向けられる殺気

 死神の鎌が首元に突きつけられる感覚、立っていることすらやっと

 アニメじゃない本当の話



 わたし殺される





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