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「……ごめん、レイ」
『なぜ謝る?』
少しの沈黙があって、オレは謝罪の言葉を口にする。
「オレ、議長の、レイの力になれなかった…オレが弱かったばかりにむざむざお前を………」
『そんな事か…気にするな』
「でも!」
『……それよりお前はこれからどうする気だ?』
「えっ?」
質問の意味が分からずオレはレイを見つめる。
オレを見つめ返すレイは相変わらず涼しい顔をしている、
だけど、その表情はなぜか最後に会った時より明るく見えるのは気のせいなのだろうか?
『お前は俺と違ってまだ生きている。
そしてこの世界は議長が死んだ事によって混乱は続く』
「そ、そんな………」
『だが彼らはそれを選んだ、自由な明日を求めてな』
「…………。
それでも、それでも…オレは戦う」
『シン………』
オレの戦う理由
力の無い人を守るため、オレみたいな人を出さないため、そのためにもオレは戦わないといけない
それが例えアイツ達とまた戦う事になっても
『……シン、何故お前にオレの体の事を話したと思う?』
レイはこの戦いの直前自分がクローンであり、寿命が短い事をオレに告げた。
その時はレイが自分の事を話すことで、オレの事を信用しているという意味だと思ってたけど………
『俺の素性を知ることで、お前は俺に同情しこちら側に付くと考えた。
案の上お前はプラント側に付いて、議長のために戦ってくれた』
そう言うと、レイは馬鹿にしたような笑みを浮べる。だけど、それを見てもオレは腹が立たなかった
なんとなくだけど、そうだとは分かってたから、それに………
「……それでもいいさ」
『何?』
「……オレは自分が思う世界ために戦ったんだし、そういう事ではオレも議長を利用したって言えるしな
それに…オレ、レイの力になりたかった」
『シン………』
「レイ、オレもう少しだけ頑張ってみるよ、例え1人になっても」
なぜか少し泣きそうになってるレイに、オレは微笑を浮べる。
親友なのに心からの笑みを初めてオレはレイに見せた気がする。
『……やはりお前は優しすぎる』
「えっ?」
顔を上げたレイの顔は困ったような、呆れたような、そんな顔をしていた。
『……シン聞け、これから俺とあの子でお前を別の世界に飛ばす。それが俺に出来る唯一の罪滅ぼしだ』
「ハァ!? 何言ってんだ!?」
『お前がどこの世界に飛ぶかは分からないが、少なくともこの世界よりは平和なところだろう』
「おいレイ、冗談はやめろよ!」
『お前はもう十分戦い、傷ついた。もうそろそろ穏やかな日を過ごしてもいいだろう』
「ふざけるな!! オレはまだ戦える、戦えるんだ!!!」
レイはオレの叫びに返す事なく、笑っていた。
『さらばだ、シン』
レイの言葉と共に光が生まれ、オレの目を焼く。
「うわぁぁぁ!!!」
そしてオレの体全体は奇妙な感覚に飲み込まれていった。