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「これだから子供は………」
オレは部屋に入ると寝転がる。
子供を相手にムキになった事は認める
だけど泉こなたの言った言葉が気に入らなかった
泉こなたが言ったのは『自由な明日』っていう意味だ。それはアイツ達が言ったもの
そんなものをオレは認める気はない。『自由』っていうのは何をしてもいいって事だ。
例えば権力者が、自分の理想のために国民に全体に負担を強いたりするのも自由だ
権力者はそれでいいかもしれない、だけど虐げられた人はどうなる? そこには自由も平和もない
そんなのは絶対にオレは認めない
オレみたいなヤツを出すのは沢山だ
だからオレは議長の掲げる世界に賛同したんだ………
ばたん
下で扉の閉まる音が聞こえる。恐らく泉こなたが学校にでも行ったのだろう
さっきのやりとり、泉こなたにからかってる様子は見られなかったなく、純粋にオレの言葉の意味が分かっていなかった。
子供だから『自由』イコールなんでもしていい、怒られないとでも思っているのだろうか?
「そんなバカな」
オレはかぶりを振る。
だったら一体なぜだ? なんで泉こなたやアイツ達には迷いがないんだ? オレにはなんで迷いがある?
迷う必要なんてないはずなのに………。
『それって楽しいの?』
泉こなたの言葉が甦る。
あの様子だとアイツは毎日が楽しいんだろう
そういう意味でもここは異世界だ。オレの知ってる人は誰しも、明日に迎えるかもしれない死に怯えていたんだから………
それに比べてアイツの顔ときたら………
「……能天気め」
誰もいないのに1人愚痴るように呟く。
そうだ、そんなものは必要ないんだ。オレは力のない人を守れたらそれでいい
だから帰るんだ一刻も早く
それなのになんで余計な事を考えてたんだオレは?
「絶対オレは帰って見せる」
何かを掴むかの様に振り払うかの様にオレは手に力を込める。
朝起きて抱いていた異世界に来た事による絶望感はいつの間にか消えていた。