「あっ!?」

 オレはそれを確認するために、こなたから離れ、隣の部屋のドアを開ける。

 目に入ってきたのは予想していた通り、考えたくない景色、何もない暗い部屋。

 本来はオレのものがおいてある、泉家のオレの部屋。



「ザフト泥棒君、今度は何?」

「……こなた、アンタ今、高1か? 高2か?」

 追いついてきたこなたにオレは問いかける。

 ここまで来たら、もう答えはほとんど出ている。





「……そこまで調べてるの? ……高2だよ、キミは?」

「高3、陵桜学園3年生だ」

「あれ、先輩?」

「オレはの名前はシン・アスカ」

「シン・アスカ先輩…世界を飛び越えて来た?」

 冗談か、本当におかしい奴か、それを探るような目を向けるこなた。

 オレもできればそれのどっちかなら、どんなに良かったか。



「そうだと言ったら………?」



 ここにはオレの知ってるこなたはいない。

 かがみもみゆきもつかさも、誰も。



 手に入れてもなくなる、それがオレの運命なのか



「いいよ」

「えっ?」

「悪い人じゃなさそうだし、話を聞くだけなら

 もっとも警戒はするけど」

 と言ってもこなたはニコリともせず、涼しげな視線を向けてくる。

「ああ」

 だけど希望は残ってる。あの時と同じ様に『こなた』に出会えた。



「じゃあリビングに、麦茶でも出すよ」

 促すこなたにやはりユル〜イ顔は浮かんではいなかった。



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