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「なるほど、分かった」
「ホントか!?」
「うん、分からないって事が」
麦茶を啜って答えるこなたに、オレはテーブルに突っ伏す。
オレの身振り手振りを交えての、オレがザフトのシン・アスカであること、そしてなんの運命か、泉家に飛ばされてそこでお世話になってるかの説明した1時間を返せ!
「でも私が知ってるシン・アスカはそんなにノリが良くないはずだし、とりあえず信じるよ」
「あんまり信じてないだろ」
「うん、私はキミの知ってるいる『泉こなた』と違って、ザフトのシン・アスカしか知らないしね」
「オレは嘘つきじゃないと自分では思ってるんだけど」
「思い込みが激しい」
「うっ」
淡々と冷静に告げてくるこなたは、確かにオレと暮らしていた『泉こなた』とは違う。
何を考えてるか読めないところがあるのは一緒だけど、こっち側のこなたは警戒しているのもあるんだろうけど、表情の変化が乏しいし、無口だ。
「まあ対策は明日考えよ。今日は遅いし」
「そうじろうさんは?」
「取材旅行で帰ってくるのは週が明けてから
運が良かったね」
この場合、良かったと思うべきなのか、そうじろうさんなら、何か良い方法を見つけてくれたかもしれないのに
「部屋なら『キミの部屋』が空いてるから」
「外から閉めてもいいぜ」
「わた…『こなた』の事を大事にしてるみたいだから、そこまではしない」
笑うことなく告げるこなたに、こっちは違和感しか生まれない。
オレの戸惑いに構うことなく、こなたはさっさと歩いていくので、オレも慌てて後を追う。
「でもあんまり馴れ馴れしくされても困る。私はキミの事を知らないから」
「あ、ああ………」
変わらないトーンから出る軽い拒絶の言葉。
なるほど、確かに目の前にいるのはこなたであって、こなたじゃない。
「明日はお客さんが来るから、キミはお父さんのお祖父ちゃんの姉の娘の婿の又従兄弟の子供と町内が一緒のお父さんの知り合いの子って事で」
「それ最後のだけでいいだろ!?」
ニヤッと笑う『こなた』、訳がわかんないところだけ共通点なんて困った以外の何者でもない。
「で客って誰だよ?」
「私の友達だよ」
「……まさか………」
「お察しの通り、つかさ、かがみ、みゆきさんだよ
じゃあ、お休み」
こっちを振り返ることなく、自分の部屋に入るこなた。
いや、その行動に怒りとか虚しさを感じている場合じゃない。
つかさにかがみにみゆき、『こなた』だけでもこんなに慣れてないのに
『あっ、壁にパンチとかしないでね』
ドカッ
止められた拳はヘルメットに振り下ろし、オレはトボトボと『自分の部屋』に戻る。
明日アイツ達に会ったらどう接するのか?
その夜はそれの事でオレは頭がいっぱいで、元に戻れる方法なんて考えられなかった。
〜 つづく 〜