『いっただきまーす』

 今日はH・Rで終わりなため、午前中で帰れるんだが、天気もいいし外で飯を食べようという話になり、

(なぜかオレ以外はみんな弁当を持ってきてた)校庭で昼飯を食べる事になったのだが………。



「みゆきさんの私服ってどれも似合ってるよねー」

「そうよね。スタイルいいから、ってのもあるんだろうけど………」

「いえ、そんな…私はただ自分が気に入った服を着ているだけで………」

「うわー今越えられない壁を感じたわ」

「じゃあ今度、みゆきさんにわたし達が似合いそうな服を選んでもらおうよ」

「ええー!?」

「それ賛成ーついでに――」

 といった具合に先ほどからオレには理解不能な会話がなされていた。

 こなたも前までああいう話には興味が無かったはずだが、最近では積極的に話に参加する様になってしまい、完全にオレだけ蚊帳の外。

「ったく、なんだよ〜」

 オレは八つ当たり気味におにぎりを口に放り込んだ。



「……うっ! ウググ――」

「シ、シンさん!? 大丈夫ですか!?」

 みゆきがいち早くオレの異変に気付き、お茶を渡してくれる。

「危なーい!!」

 オレがお茶を飲んでいるときに遠くで声が聞こえた。と同時だった――



 ドガッ!



 オレの後頭部に何かが命中した。

 普段のオレだったら気付いて避けていただろうが、今のオレは、飯との戦いに集中しすぎていた。



 ユルくなったもんだなオレも――



 そんな自嘲的な事を思いながらオレの意識は薄れていった。





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