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「とは言ったもののさー。
『春って新しい何かが始まりそうな(中略)大きな期待マジで恋する五秒前!』って爽やかなイメージあるけど、
実際は知らない人と一から始めなくちゃいけないから鬱だよね…」
「私はもう慣れたけどなー。それにあんたはマシでしょ?」
だいたい恋はもう十分だろ、と心の中でもツッコミながら私はあいつの方に視線を向ける。
「慣れたんだったら、かがみだけ別のクラスでいいじゃん」
笑いながら言うあいつ。
こ、こいつは、人の気も全く知らないで………。
「ダメだよシンちゃん。そんなこと言っちゃ」
やんわりとあいつをたしなめるつかさ。
そうだ! つかさ言ってあげなさい!
「お姉ちゃん昨日の夜、みんなと一緒のクラスになれますように、ってわざわざ神社の方にお参りしてたんだよ」
「ち、ち、違う! あ、あれはつかさとみゆきと…あーもう! 言うな!」
「はぅっ! ごめんね………」
ホント悪気がないって恐ろしい…知ってたけど………。
「かがみんはかわいいね〜♪」
「だな。さすがツンデレウサギ♪」
案の定、こなたとあいつはからかいモードに入るし………。
「もう、早く行かないと遅刻するわよ!! 行こゆたかちゃん!」
「えっ!? あっ、はい」
私はゆたかちゃんの手を取り早足で歩いていった。
「ちょっ!? かがみん!」
「待てって!」
「お姉ちゃ〜ん」
勿論、私は三人の声にも止まる事はなかった。