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 またやっちゃった…私は心の中でがっくりと首をうなだれる。



 好きの反対は嫌いではなく無関心、とはテレビかなにかで言ってたけど、本当にそうなのだと今なら分かる。

 シンは保健室から今まで私がまるでいないかのように振る舞っていた。

 そしてようやくわたしに話しかけてきたのに、さっきの失敗………。もうバッドルート一直線。

 これがギャルゲーならCGを回収してセーブをしたところからやり直し、なんだけど…これはリアルなんだよね………。

 バチが当たったのかな…自分のことばかりでシンのことまるで考えてなかったバチが………。



「お恥ずかしながら、学校に用事があるのを思い出しました。先にお帰りになってて下さい」

「あーわたしも忘れ物したみたい………」

「も〜何やってんのよ。私もついてくから、早く学校に戻りましょ」

 突然のみゆきさんの発言につかさ、かがみも続く。

「じゃあ、オレも――」

「いえ、お気遣いなく。つかささんやかがみさんも一緒ですし」

「そうそう。女の子同士の秘密の話もしたいしね」

「わ、分かったよ。それじゃあまた明日な」

「シンちゃん、ばいに〜」

 さすがにシンもみゆきさん達にそこまで言われたら引き下がるしかなく、別れの挨拶をしてみゆきさん達を見送った。

「なんだよ、秘密の話って?」

 首を捻った後シンは踵を返して歩いていく。私がまるでそこにいないかのように………。



 ♪ 天然じゃありません♪



 ん? みゆきさんから? メール?

 私は何事かと携帯を開けた。



『今日はお見苦しいところを見せてしまい、申し訳ありませんでした。だから、一度だけ、サービスです。』



 みゆきさん…ということは恐らく、これが最後のチャンス。これを逃すと私とシンは………。

 思わず拳を握る私。

 こうなったら仕方ない。変な小細工はなしの真っ向勝負!

 私は大きく息を吸うと、先を歩いているシンに走って行った。



「シ〜ン待ってよ〜」

「なんでオレがアンタを待たなきゃいけないんだよ!?」

 無視されると思ったが、シンは意外にもこっちを向いて返事をしてくれた。相変わらず好感度最悪の返事だけど………。

「昨日私がしたこと怒ってる?」

「…………」

 無視ですか、そうですか。……怒ってんじゃん………。



「あ、あのさシン…わたしのこと思い出すの苦しい?」

「ああ、苦行だな」

「だったら………」

 私は目をつむり、一呼吸置いてから目を開ける。

「わたしのこと別に思い出さなくてもいいよ〜」



 そう、私はシンをゆるくするんだから!!





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