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「や、やだな〜みゆきさん、いくらなんでも――」
「本当にそう言えますか?」
わたしの言葉を遮り、みゆきさんはゆっくりと厳しくわたしを追及してくる…というかみゆきさん本気で怒ってる?
「ゆ、ゆきちゃん、ど、ど、どうした――」
わたし達の仲裁に入ろうとするつかさをかがみが手で制する。
険悪な空気がわたしとみゆきさんの間に流れる。
「泉さんの行動はシンさんを恋愛対象ではなく、ゲームのキャラクターにしている一方的なもので、それはシンさんを苦しめているだけです!!」
「そ、そんなことなんで分かるのさ………」
「シンさんは私の我が侭を聞いて下さり、最近みゆきと呼んで下さる事が多くなりました」
わたしの問いに関係ないことを話し出すみゆきさん。
「……ですが今日は…そんな配慮も出来ないくらいに、シンさんは記憶を無くされて、焦っておられます
泉さんはシンさんのそんな御様子に気付いておられましたか?」
「……………」
全く気づかなかった…シンがそんな状態だったことに………。
「で、でもさ、シンの記憶はすぐに――」
「戻らないかもしれません…現に一日経ってもシンさんの記憶は戻っておられないのですから」
「!!!」
わたしはようやく事の重大さに気付いた………。
「はい、そこまで」
悪くなる一方のわたしとみゆきさんの間に、かがみが止めに入る。
「みゆき、もういいでしょ? こなたも分かったみたいだし」
「あっ…す、すみません! 御恥ずかしいところを見せてしまって…反省して来ます・・・」
「待って、ゆきちゃん」
つかさはかがみの方を向いて頷くと、みゆきさんの後を追って教室を出て行った。
「かがみ、わたしどうしたらいいのかな?」
わたしはすがる様にかがみに尋ねた。
「昨日それを聞いてきたら一緒に考えたんだけどね」
「ということはかがみも………?」
「さっきも言ったでしょ? みゆきと一緒。
今回はゲームと同じ感覚でシンをどうにかしようとしたあんたの自業自得」
いつもみたいに怒った感じでは言わないかがみ。
それは今回は助けないということを示していた………。
「あーもういいですよ! 一人でやればいいんでしょ!?」
わたしは完全に開き直り、かがみを指差す。
「そーいう事
フラグとか言わずに普通にシンと接しなさい…そうしたら、あいつはあんたのこと思い出すと思うわ」
そう言うとかがみは自分の教室へと帰っていった。
なんだかんだ言ってアドバイスをくれるかがみ、さすがツンデレ…でも………。
「普通に、って言われてもね………」
わたしはいまだ口をつけてないチョココロネを見ながら呟いた。