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「――てなわけなんだよ。まあ、怒ったオレも大人気ないと思うけどさ…こっちは何度もやめようと言ったんだぜ!?」

「は、はぁ………」

 語気を強めてオレの主張は続く。

「だいたいなんだよ? アイツの趣味は? アニメとゲームって、完全にオタクとか言われてるヤツらと一緒じゃないか!?」

「で、ですが…泉さんは、そ、その…お料理もお得意ですよ?」

 みゆきさんが誰にでも分かるウソで泉こなたを弁護する。



「……昨日はアイツが料理当番だったよ。でもな………」

「でも…どうかなされたんですか?」

 みゆきさんが恐る恐る聞いてくる。

「アイツは、泉こなたは…ネトゲーでレバ剣とかいうのを拾ったから試し切りをするっていう理由で、

夕飯作るのをすっぽかしたんだぞ!!」

「えええー!?」

「オレは別にいいよ。そういうのには慣れているしさ。

 でも、そうじろうさんは仕事で疲れてるし、ゆたかは食べ盛りの時期だってのに、ひどいよな………」

「あ、あの、そ、それで御夕飯はいかがなされたのですか?」

「出前を頼んだよ。結果的にアイツの作った飯を食わなくてすんだし、よかったかもな。

 その後も何かに付けてベタベタ引っ付いて来るしさ」

「えっと…あ、あの、そ、それは………」

「それよりも、腹が立ったのは、だ!!」

 オレはそこで一息止めてから、一気に言い放つ。

「アイツはオレのベッドに勝手に入ってきたんだぞ!」



「ええー!? ……あ、あの、そ、それは…シ、シンさんが眠られた時に、ですか?」

「……多分な」

 曖昧な返答をした理由は、泉こなたがオレのベッドに入って来た正確な時間が分からなかったからだ。

 確かにこの世界に来て、前よりはそういったカンが鈍ってるとは感じていたが、素人の侵入にも気付かなくなるなんて、

ユルクなったもんだ…これもアイツのせい…ってアイツって誰のことだ? みゆきさん? かがみ? つかさ? それとも――

「シンさん、どうかされましたか?」

 みゆきさんの声でオレの思考は中断される。

「あっ、いや。…なあ、オレと泉こなたって恋人同士とかじゃないよな?」

「えっ!? ど、どうしてそんな事を聞かれるのですか!?」

 みゆきさんは今まで見たことも無い顔でオレを見て来た。

「オレのベッドに入ってきたこと詰め寄ったらさ、アイツは『時々一緒に寝てたから、いいじゃん♪』って言うんだぜ。

そ、そのさ、つ、付き合ってたら、そ、そんなことするかなーと、お、思ってさ」

 今朝のことを思い出し、少し赤くなりどもるオレ。

 しかし、もしそうなら泉こなたに悪い事をしたかもしれない………。

「……いえ。私が知っている中では御二人は恋人関係ではなかったです。ですが――」

「だよな! 良かった〜!!」

 みゆきさんが何か言いかけていたが、それより何より泉こなたがオレの彼女でないことにホッとした。

 お世話になってるそうじろうさんの娘だが、親しくもないくせに馴れ馴れしく引っ付いて来るヤツは、

彼女どころか友達にもなれない自信がある。



「もういいか? オレ、白石らと遊びに行くんだけど」

 泉こなたの事についてはもう話したくなかった。

 何故か知らないが、アイツの話をすればするほど自分が罪悪感に包まれる。

「あっ、はい………」

「そうそう」

 立ち上がったオレはみゆきさんの方を振り向いた。

「みゆきさんやつかさは優しいし、かがみも面倒見がいいからってさ、あんまり泉こなたと付き合わないほうがいいぞ」

「えっ? あの…今………」

 オレは吐き捨てるように忠告すると教室を出て行った。





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