『こなたー! こなたーっ!』

 いつの間にか眠っていたわたしは、ドアをノックするシンの声で目を覚ました。



「ほいはい、なに〜?」

 べたつく頬の周りを一撫でしてからドアを開ける。

 シンが特別に驚いた顔をしてなかったので、きっとうまく誤魔化せたんだろう



「ん、お前宛」

 渡されたのは小さな封筒、送り主は記憶にないけど………



「おお〜なんか倍率の低そうなフリペーパーの懸賞か!」

「お前なー」

 非難がましい視線を送ってくるシンを無視して、わたしは封筒を開ける。

 入ってたのは、小さな遊園地の招待券



「お前、こんなのにしたのか?」

「いや〜確かこれ、なかったから第三希望かなんかの」

 こんなのが当たるとは………、せめて第二希望の図書カードなら………、

いや金券ショップに行ったらコミック一冊分くらいにはなるか………

 ん? 遊園地か………



「シン、良かったら今度の日曜これ行かない?」

 こんなとこを二人で行ったら、さすがにシンもデートと勘違いするだろう。

 残念ながらわたしとシンはそんな関係ではない。だからわたしは半分、いや九割冗談のつもりでシンを誘う。





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