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遙か上空にある球体を見ると色々考えさせられる。
この世界では月は遙かに遠いところらしい
オレのいた世界では割と気軽に行けるのに
どうしてこんな世界に?
どうやったら戻れる?
何回も繰り返した自問自答。答えは依然として出ていない。
それなのに上空にあるよく知っていて全く別物の物体のせいでまた思い出してしまった。
今も割り切ってはいない
諦めてもいない
でもそれでいつまでも前に進めないんじゃ、意味がない
だけど丸い月はオレの決意を揺らがせる。
あの時の様に
どれを信じていいか分からなくて、すがりついて
出した答えは本当にオレの望むものだったのか、オレの本当の意思だったのか?
「ようっ!」
コツンっと、頭に何かがぶつかる。
振り返ると月の光を吸収し、鮮やかに輝いた蒼い髪の少女がいた。
オレが座ってるからか、それともいつもと違って艶やかな笑みを浮かべているからか、こなたがやけに大きく見える。
「知ってる? 今日は中秋の名月だって」
「知るかよ、なんだそれは」
「さあ? 明日みゆきさんに聞いたら?」
その時のこなたの顔はもう艶やかでもなんでもなく、いつもの力を全く感じない顔だった。
「ただ知ってることが一つ」
そしてこなたはさっきオレを小突いた、木で出来た台形型の置物を置く。
その上には月のように小さな白くて丸い物があった。