「ねぇーシン」

 パキン

「んー?」

 パキン

「初めてのG.W.どうだった? 楽しかった?」

 パキン

「別に。いつもより疲れた」

 パキン

「じゃあ、迷惑だった?」



 パキン

 パキン



 プラモを切るニッパーのリズムが乱れる。

 ちょっと答えを探してる。



「迷惑なんて言ってないだろ」

 結局返ってきた答えはそっけないもの。

「そっか、ならいいんだよ」

 でも逆にそれで分かる。シンがG.W.を楽しんだことがね



「だだ、今のこの格好は大いに不満だ」

「そっ? わたしは楽だけど?」

「もたれてくる方はな」

 今のわたしとシンは、背中合わせ。

 でもやってることはわたしは積み漫画の消化、シンは積みプラの消化。



「これ、楽しいか?」

「シンは楽しくない?」

 シンの体が前のめりになる。

 どうやらやすりか何かを取ろうと、手を伸ばしたと思われる。

 それでも決して支点をずらそうとはしない。

「お前は楽しいのか?」

「どうだろう〜ね〜?」

「はぐらかすな」

 ちょっとだけ強く元の姿勢に戻るシン。

 予想してたからわたしは慌てることなく、シンの背中に背中を再び着地させる。

「お前さあ、オレに遠慮―――」

「してないよ」





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