「その服どうにかしろよ!」

「へっ?」

 しかし言われたのは全く予想外の言葉。

 ちなみにわたしの服は黒のタンクトップに黄系統の短パン、別段家の中では普通の格好………。



「そんな格好のまま隣でゲームすんな!!」

 分かってないわたしにシンが真っ赤になって吼える。

 ……って

「ふおおー!?」

 ようやくに意味が分かり、私は奇声を上げる。

 ゲーム中派手に動きこそしていないが手や体は動いている、そしてなんだかんだ言ってても、私は女で、シンは男なのだ。



 そこまで!



 しかし私の団長命令を無視し、脳は回転を続ける。



 よりにもよって、スキだらけの格好を男の子に、シンに見られた

 これを狙っていたのならいつもの様にからかった返しが出来るのだけど、完全に今回は不意打ちの予想外。

タンホイザーの側面をあらぬところから射抜かれた。

 そして次に来るのは炎上した羞恥心。

 顔どころか体全体が暑くなってきて、エアコンなんてものの役に立たない。



「さ、寒くなってきたねー、上着取ってこようかなー」

「そ、そうだな、そうしろ、うん」

 どうしようもないくらいにこっぱずかしい空気を、棒読み全開のやり取りでなぎ払うわたしたち二人。

 もちろん、そんなものでこの空気を戻せるわけがない。



「じゃ、じゃあ、ちょっと待ってて!」

 私は逃げる様にリビングを出る。

 このままここに戻ってこずに、部屋で悶絶しといたほうがはるかにましなんだけど、それはのちのち気まずいし、

自分のキャラではないから、不自然じゃないくらいに戻ってこなければならない。



「あ〜もう!」



 つくづく自分のキャラが恨めしい





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