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「いや〜生き返る」
「お前、オレがもしリビングに来なかったらどうする気だったんだよ?」
「さあね〜」
わたしの答えにシンは絶句する。
実際にそんなに深くは考えてなかった。しばらくしたら誰かリビングに来るだろうし、一日中あそこで放置プレイってことはないから。
ただわたしにとってのラッキーだったのはシンがリビングに来たことである。
「あーあ、オレの不幸はリビングに休みに来た事か」
以心伝心、ニュータイプ
「ぷっ、あははははー!」
「何がおかしい!?」
「をぐっ!」
シンの緩めのチョップがわたしの脳天に突き刺さる。
むろん全然痛くは無い。
だいぶ力の加減が出来るようになってきたねー
ちょっと前までは実はかなり痛かったんだよ
「シン、ゲームしようよ」
リアクションを一通り取ってからわたしは提案する。
もうすぐ夏期講習が始まるから、シンと遊べる機会は減ってしまう。
だから今のうちに遊んどかないと☆
「そうだな、してもいいか」
基本的にはシンもこっち側の人間でだらしない。
だから誘惑に負けたのか、考えた素振りをしたもののあっさり頷いた。
「あれ、シン弱くねぇ?」
わたしがそんな不満をぶちまけたのは、ゲームを開始して少ししてからだった。
シンと格ゲーをすれば、種類にもよるけど三回に一回は負けるのに、今日は十回に一回、しかもその一回もわたしの苦手キャラ操作時。
「うるさい、オレは弱くない!」
わたしたちとゆる〜い生活をエンジョイしてるとはいえ、この負けず嫌いは変わっていない。
そして未だ闘志も失われていない。
だが残念なことに本当に弱いのだ、今日は
「じゃあ、今日はなんで?」
「うっ………」
追求すると視線を外す。
こういう時のシンは何かやましいことがある時。
「どうして?」
「ううっ………」
近づくとその距離分だけ後ろに下がるシン。
それを繰り返すこと一メートル余り
「あー、集中できないんだよ!!」
シンお得意の逆ギレが発動した。
とはいえ何が集中できないんだろ?
やはりわたしたちの年代を考えると受験のことなのか?
だとしたらそんなシンの不安に気付けなかった私のミス
シンはゲームも仕方なく付き合ってくれてたのかな………