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「だから何よ? 『遥かなる時空の中で』って!? 『光源氏』でしょ、ここは!?」
かがみが日本史のシンの解答に頭を抱え込む。
「そうそう。でリーダーは諸星で妻がラムちゃんだよ」
わたしは読んでた漫画から視線を外して、シンに豆知識を教えてあげる。
「へーそうなのか」
「んなわけあるかー!! 余計な事を言うな!!」
「なっ、ウソかよ!?」
シンは普段の言動から天の邪鬼と思われてるけど、人の言葉を信じ込みやすい。
だからからかいがいがあるし、そこが可愛いんだよね…おっと、そんなことよりかがみにフラグを立たせてあげよっかな♪
「わたしお茶入れてくるよ。そうそう、もし『ヤッちゃうんだったら』入り口に張り紙かなんかしといてね〜♪ 遠慮するし☆」
「なっ………」
「へっ………」
閉めたドアの後ろから、なにやらツンデレの共鳴が響いてきた。
「分かった、ここがこうだな?」
「はい、正解。これは先が思いやられるわね」
「お待たせ〜」
わたしが部屋を出て五分程しか経ってないけど、かがみとシンのフラグは確実に立っていた。
証拠はさっきまでかがみはシンの向かいに座っていたのに、今は隣りに座っているから!
「仲がいいね〜」
「ち、違うわよー! こ、こっちの方が教えやすいし!! ね、ねぇ!?」
「ああ、そうだな」
「うわぁ〜………」
特に動揺する事なくシンは頷く。
相変わらず、空気読めないというか、フラグブレイカーというか…あっ、かがみん、少し凹んでる。
でもよかった、何もなくて…あれ? なんでよかったって思うんだろ?
わたしはかがみとのフラグを立たせるためにお茶を用意しに言ったのに…あれ?
「ねぇシン、生物の宿題やった?」
「桜庭先生のだろ? やったけど」
「あそこどう書いた? 四問目?」
「あそこは――」
お茶を飲みながら、二人は勉強についての雑談を始める。
そーですか、話しついていけずわたし涙目ですか。
まあわたしとは勉強の話ができないからだろうけど、もうちょっと振ってくれてもいいじゃん…シンのバカ………。
「こなたどうしたの?」
「胸が痛いのか?」
「えっ?」
そう言われて視線を下げると、知らない間に自分の手が胸を押さえていた。