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「はいシンちゃん」
「おっサンキュー!」
つかさがにこやかな笑みと共に差し出した弁当にオレは声を上げる。
この弁当はもちろんつかさの手作りだ。
とある事でオレがつかさの料理の腕を褒めたところ気を良くしたのか、つかさは1週間に1度、弁当を作ってきてくれる。
オレとしても弁当を作る手間が省けるし、おいしい料理を食べれるし、料理の勉強になる、と良い事尽くめなため断る理由はなかった。
「やっぱ労働の後の飯は楽しみだよな〜」
といっても実験で使う器具を出しただけだけどな。
「今日はちょっと、味を変えて見たんだよ〜」
「おいおい毒味役か」
皮肉ったもののつかさの料理は味で失敗した事はないから(量は何度か間違えてるけど)、オレはためらいなく口にする。
「ど、どうかな………」
不安気にオレを見てくるつかさ。
そんな顔しなくて美味しいに決まってる。しかも今回は味付けもオレ好み。
「まあまあかな」
だがオレはぶっきらぼうに答える。
別にみんなの前でつかさを褒めるのが照れくさいというわけじゃない…ほら、あれだ、褒めすぎて慢心されると困るからな。
「そっか、よかった〜」
「うっ………」
純粋に嬉しそうな笑みを浮かべるつかさ。そんな顔されると罪悪感が………。
「……なんだよかがみ、その顔は?」
「別に」
どうやら、つかさを褒めなかったのが面白くなかったらしく、かがみはややふてくされた顔をする。
「さてと、じゃあ遊んでくるかな」
オレは立ち上がって、白石の席に向かう…っと、そうだ。
「つかさ、ごちそうさま。ありがとな」
礼はちゃんと言っとかないとな。