20
「ただいま」
玄関に入ると、こなたの靴がすでにあった。
よし、一刻も早くこなたに謝るか…イヤ待て待て、どうもオレは思い立ったらすぐに行動しがちだ。こういう時こそ冷静にならないとな。
感情的に謝ったらまた、逆ギレしかねない。それにまだこなたをどうやって女の子としてみたらいいかも分からないし………。
「少し頭を冷やすか………」
オレは作戦会議も兼ねて浴室へと向かう。
この時周りを気にしてなかったオレは、残念で迂闊としか言いようがなかった。
ガラッ
そう、全くオレは気にせず浴室のドアを開けた。
そして気付いた。そこに先客がいた事に。
「……シ、シン………?」
こなたと目があったが、オレは動くことができなかった。正確にいえば、どうしていいか分からなかった。
「ち、ちょっと、し、シン、あ、あの、は、恥ずかしいんだけど………」
「わ、わ、わ、わ、悪い!!!」
こなたの蚊の泣くような声でオレは正気に戻ると、慌ててドアを閉める。
本日2回目、こんな事ってそうそう起こるもんじゃないだろ!? なんなんだよオレは!?
でも朝とは決定的に違うのはこなたの反応だ。
恥ずかしそうにこっちをみてくるこなたの仕草、あれは完全に女の子だった。
やはり、こなたも女だったんだなと認識させられる(というかそんなのが分かるオレの方が問題かもしれない)。そして――
「なんて事したんだ、オレは………」
自分がとんでもない事を2回もしてしまったという事を改めて認識させられ、オレは重い足取りでリビングへと向かっていった。