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「す、すみません!嘘です!!!」

「こなた! しっかりしなさい、嘘よ、嘘!!!」

 悠久ともいえるような時の流れにわたしが流されているところを、みゆきさんとかがみが引っ張り上げる。

「……嘘………?」

「ちょっと悪ノリしすぎたわね…ごめん、こなた………」

「す、すみません、まさかこれほどまでにショックを受けられるとは思ってなくて………」

「……あ、いや、…こっちこそ…ごめん………」

 謝るかがみとみゆきさんにわたしもなぜか頭を下げた。



「でもこれではっきりしたわね。あんた、今胸が痛くなかった?」

「あ、うん…ねぇ、やっぱりこれって………」

 わたしの呟きにかがみ、みゆきさんの両方が頷く。

 さすがにここまでされたら、わたしも分かるし、また認めざるをえない。

 ただ………。

「わたしなんかが人を、シンを好きになっていいのかな………」

 わたしは三度の飯よりもゲームをしていたいし、アニメは全部の番組をチェックして録画してるし、

十八禁のゲームだってする、その他にも自他ともに認める完全ヲタクだ。

 そんなわたしが人を好きになっていいものか…それにそんなのに好意をもたれるのはシンに迷惑なんじゃ………。



 ぽん



 わたしの肩にかがみが手をのせてくる。

「当たりまえじゃない! 人を好きになるのは、誰にだって許されている権利よ。

 私だって妹や友達の恋愛を応援するどころか、その人達と争ってる駄目な人間よ」

 そう言うとかがみは優しい笑みをわたしに向ける。

「私もそうです。泉さん、そんな事は気になさらなくてもいいと思いますよ」

 二人にこんな笑みされたら、確実にシンは落ちるんじゃないだろうか、そう思うほど二人は輝いて見えた。

 わたしもこんなふうになれれば、もしかしたら………。

「あ〜あんた、今自分もいけると思ってたでしょ?」

「ま、ま、ままさか〜そんなこと思ってないよー」

 普段とは逆の立場になっているが、今日は仕方がない。



「ですが、泉さんは普通に可愛らしいと思いますよ」

「ほ、ほんとに?」

 みゆきさんの言葉にかがみも頷きながら続く。

「まあそうね、中身以外は普通の女の子に見えるわよね、小さいけど」

「うるさいな〜」

 かがみの言葉にわたしは口を尖らせる。

 でもこの様子だったら、わたしのバイトで得た経験を使えば少しくらいは女の子らしく出来るし………



 いけんじゃねぇ?



「そうと決まれば、今日早速告白イベントだぁぁ!!!」

「ええっー!?」

「ちょ、おまっ!? はやっ!!」

「だって、悩んでても無駄じゃん、一点突破、わたしのフラグが火を噴くぜ、ってね☆

 そんじゃ二人とも今日はありがと!!」

 呆然とする二人を残して、わたしは全力全開で家路に着いた。





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