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 ばたん



「は〜」

 わたしは部屋に入るなりため息を一つする。

 あの後、かがみが帰ってから夕食を食べるまでの間、シンはわたしのことを終始気遣ってくれた。

……いやまあ、気遣ってくれるのは嬉しいんだけど、余計悪化してる気が………。



「やっぱり、わたしどこか悪いのかな?」

 わたしはベッドに腰掛けて自分の胸を触る。

 今日だけというなら気のせいで済むんだけど、最近急に胸が痛くなったり、動悸が早くなったりしてる。

 でも、この症状がいつから出たのか、どうなったらなるのか発動条件が全く分からない。



「死ぬのかな? わたし」

 ありえない話ではない。お母さんは病弱だったらしいし、

体格がそっくりなわたしにもその可能性はないとはいえなかった………けど。

「まっ、そこまでの鬱展開にはならないと思うけどね〜」

 この場面にシンがいてくれれば、確実に突っ込んでくれるんだろうけど、

残念ながら今はわたしひとり…なにもかもがみな空しい………。

 ただ原因とかが分からないのはなんか不気味な感じ…病院にいったら、検査入院させられそう………。

 そうしたら、シンになかなか会えないな〜、シンともゲームもできないし、シンと一緒に料理とかも作れないし。



 ……シンは心配してくれるかな?………



「……もういいや」

 わたしは一言のもとにベッドに倒れる。

 なんか考えれば考えるほど、どんどん悪化しそうだし、こーいうのは気の持ちよう!

「てなわけでネトゲ♪ ネトゲ♪ こういう時こそ思いっきり遊んで忘れよー!」

 今日はパーティのみんなで新しいダンジョンに行くんだよねー♪

 まだ見ぬ敵、まだ見ぬお宝!

「うおっー! キタキター! テンション上がってキター!」



 こうしてわたしは今日も徹夜することとなった。





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