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「全然ダメだな」
「だからこうやって練習してるんじゃん」
頬を膨らませつつ答えるこなた。
といってもそんなに言うほど悪いと言うものでもない。
ダンスは全然分からないけど、こなたは同じ年の女子と比べると抜群に運動能力も高いし、
ところどころ抜けているフリをきちんと埋めれれば、それなりのクオリティににはなると思われる。
「ていうか、シン手拍子は?」
「そんなのいらないだろ?」
「客がいるってシチュじゃん」
「言ってる意味が分からん」
「このダンスね、今度のバイトで踊ることになったんだよ」
「バイトって、確かなんとか喫茶だよな」
「コスプレ喫茶、趣味と実益を兼ねた、真に有意義なもんだよ
シンもやる?」
「絶対にやるか」
冗談とも本気とも取れるこなたの誘いをオレは即座に断る。
そもそもオレは普通、よりちょっとおかしい喫茶店でバイトをすでにしている。
そんな聞くからにいかがわしいものをするなんて、オレのプライドが許さない。
「大丈夫だよ、最近は女性向けのもやりはじめてだね………」
「そこじゃない」
「えっ、まさか女装ですか?」
「じゃあ1人で頑張れよ」
「ごめんなさい、嘘です、冗談です」
両手で踵を返したオレの右手を掴みながら、謝るこなた。
もちろん、誠意なんてこれっぽちも感じられない。
相変わらず人をおちょくりやがって
「一人で練習は大変なんだし、つまんないんだよ、おねが〜いシン」
こなたはなおも口を尖らせながらオレの手をグイグイと引っ張ってくる。
媚びるわけでも、哀願するわけでもない、ただ本当につまらないのが嫌なんだろうな、こいつは
相変わらずだよな、ほんと
「分かったよ、付き合うからこの手を離せ」
相変わらず折れるのはこっち
「ほんと!? やったね!」
でも、それは呆れたとかそんなんじゃない
こんなに能天気な顔をされたら、怒ってるこっちが馬鹿みたいだからだ