4
こうまで上手くいくとは思わなかった。
これほどまでに他人が自分の予想通りに動いてくれるとは。
孔明過ぎる自分がこわい。
昨日からシンはご飯のとき以外ほとんど部屋にこもってる。
そして時々部屋から出てきたときのシンの顔といったら、完全に子供である。
「まずは計画通り」
「ど、どうしたのこなちゃん?」
「んっんっんっ、それはね―――」
ぶるぶるぶるぶる
この世紀の計画を話すタイミングというところで、わたしの携帯が震える。
一応シン系統ですぐにお父さんと連絡が取れるように最近は携帯を常備しているのだ。
そして案の定、メールはお父さんからのPCだった。
はてさて、シンがまた駄々をこねたのだろうか?
「件名は『シンだけど、これをみてくれ』………?」
どうやら画像が添付されているらしい。
わたしの型落ち携帯でも見れるように調整が加えられ、本文と画像が再生される。
本文は『どう思う?』という短いもの。
そして送られてきた画像は
「すごく…大きいです…」
反射的にわたしは呟く、今回ばかりはネタで口走ったのではない。
本気で呟いたのだ。
画像の真ん中にあったのは大きな剣だった。俗に言う対艦刀だった。
そしてその対艦刀を持っているのはインパルス、対艦刀が刺さってるのはフリーダム。
「うわ〜いたそ〜」
不思議そうにこっちを見ていた親友に、画像を見せると少々ピントのズレた答えが返ってくる。
だが言いたいことは分かる。
それだけこの画像は良くできている、シンの人生のハイライトといえる、最強機体を落としたあの構図によく似ている。
しかもさらに驚くのはこれがプラモだということだ。
これはシンがやったのだろうか? というかそもそもどうやったフリーダムを手に入れた?
いや、それよりもこの見事なまでの技法はなんだ!?
完全に昨日プラモを手に取った人間の技じゃない!?
「ザフトのエースは化け物か!?」
「ふええ!?」
驚嘆しつつもわたしはジオラマ、背景があった方がいいんじゃないかということをメールで返した。
そして返事が
なるほど『わかったぜ\(^o^)/』
「ちょっ、顔文字!?」
シンと何度かメールでやり取りしたことがあったけど、当然顔文字なんて付けてこなかった。どんだけテンションが上がってるんだろう
どうやら狙ってた以上に効果があったようだ。
とはいえ
「よっぽど溜まってたんだね〜」
あっさりとあの構図がでてきたということは、シンのストレスはやはりかなりのもんだったのだろう。
でもこれで少しはあのシンもゆる〜くなるのだろうか?
否、想定はいつも越えるものなのである。