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「シーンっ! シーンっ!」
珍しく早く学校から帰宅したこなたが、オレのあてがわれてる部屋に文字通り飛び込んでくる。
知り合って短いけどきっとこれはろくなことじゃないだろう。
「喜びたまえ! 無気力なニート生活を過ごしてるキミに処方箋を持ってきた」
「無気力に生きてない! ニート生活でもない!」
言っても無駄だけどつい反論してしまう。
この世界に来てからというもの、本当にコイツに振り回されっぱなしだ。
「まあまあ猛りたまうな、シンの息抜きの為にわたしが人肌脱いだのだから」
と肩をはだけさせるこなただけど、これだけ色気を感じないのもないだろう、全く邪な気が起きない。
とりあえずオレはこなたに近づいて制服を戻してやる。
「で、オレに何をさせる気だ?」
「んふっふっふっふ、プラモデルなんていかがかな?」
「はあ!? おもちゃじゃないか!」
自信満々のこなたに対してオレは明らかにテンションダウン。
別に期待してたわけじゃないけど、まさか子供の遊びを出してくるとは思わなかった。
「バカにしないでもらおうか! この世界でのプラモデルは市民権を持ってるんだよ!」
「じゃあアンタもするのか?」
「わたしは見る専門!」
「おい」
清々しいまでの開き直り。
少なくともこの点だけは、オレの元上司よりも評価できるかもしれない。
しかしそろそろ切り上げないと時間を無駄にするばかりだ
「わかった、わかった考えとくな」
「待ちたまえ、これを見てキミはまだそんな態度が取れるのかね?」
そしてこなたは思わせぶりに袋の中からプラモデルを取り出した。
オレはその箱に驚きを覚える、なぜならそれはオレが知っているものだったからだ
次元が違うはずのオレが知っているもの
「……イ、イン、パルス………?」
それはかつてのオレの愛機だった機体だった。