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いかん、落ち着け、これはこいつの罠だ
ここであいつのペースに乗せられるわけには
『本当はなんだよ?』
冷静に切り返しのメールを送る。
今度のタイムラグはさっき以上
これは明らかに何かある
俺を家に戻させないわけが
しかしそんな理由があるか?
ゲームがやめれなくなった?
でもちょっと前までメールを頻繁にしてきたし………
急な来客?
いや、それだったら普通にいえばいいし
……もし、俺にいえない客だったら?
「いやいやいやいや!」
俺は自分の考えを強く否定する
COOLになれ
あんなエロゲーが好きで、未だに時々中学生に間違われるようなやつを好きになるやつなんて………
俺だぁぁぁ!
あーちょっと待て、思考がヤバイ方にしかいかない!
そういえば、何かの新作でNTR要素が追加されてたな
先日、不倫騒動で芸能人が釈明してたぞ
やばい、ある、十分にある!
『じゃあ、チキンを買ってきて』
『だが断る』
ようやくにして返ってきたメールを、俺は一刀両断に切り捨てた。
あの後俺は猛スピードで家に帰った。
そして今、ドアの前に立っている。
このドアを開けていいのか?
開けたら後悔するようなことが待ってるんじゃないか
いつの間にか鍵を持っている手は震えていた。
また失うのか俺は?
でもどこにも逃げ場所なんてない、それが分かってたのか
それともどこかで俺は信じていたのか
とにかく気が付くと鍵を回して、ドアを開けていた。