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「シンさん、本当に宜しいのですか?」
「気前が良いじゃない? 三人分も奢るなんて」
「もちろん見返りはしてもらうぜ」
「なーに?」
放課後オレはこなたがバイトの日を見計らって、いつもの3人に相談を持ちかけた。
「来週こなたの誕生日なんだけど………」
「プレゼントですか?」
「ああ、何を買ったらいいのかさっぱりだ…ガンプラ、じゃあやっぱり駄目だよな?」
オレの質問に3人は神速ともいえる速さで首を縦に振る。
「私はあんたに言われるまで忘れてたわよ」
「えっ? でもお姉ちゃん、この前半日くらい悩んで買った物は………」
「ば、い、言うなー!!」
「はぅっ! ご、ごめんね………」
オレはみゆきにかがみとつかさの毎度のやり取りに対して軽く肩を竦めてみせた。
「……で、こなたからはそれっぽく要望を聞いたんでしょ?」
かがみはまだ少し顔を赤くしつつも、髪を指で巻きながらオレに聞いてくる。
「一応、ゲームかな…ただ主だった物はもうこなたは予約してるし、
それに美少女ゲームをこなたとはいえ女の子の誕生日に渡すのは………」
「確かにそうですね………」
「端から聞いてるとあんたが変態にしか聞こえないもんね」
「だろ?」
「うーん、困ったね」
オレ達4人は腕を組んでしばし考え込む。
これを打開したのは、完璧超人と呼び声高いみゆきだった。
「……それでは、アクセサリーなんて如何でしょう?」
「あいつにアクセサリーね………」
「どうしたの? こなちゃんに似合うと思うけど………」
別にこなたにアクセサリーが似合わないとは思わないけど………。
確かに最近は服等にも興味を持ち始めたみたいだけど(理由は不明。まあ年相応の女の子なんだから当然ともいえる)、
アクセサリー類をつけてるのを見たことがない。
「渡してもこなたはつけてくれるかな?」
せっかくプレゼントするのだから、そのまま部屋のオブジェにされるのは悲しいし、やはり使ってほしい。
「大丈夫だよ、シンちゃんが渡したらこなちゃんは喜んで付けるよ♪」
「私もそう思います」
その根拠を聞いてみたい気もするけど、こなたをよく知ってる2人が言うんだから間違いないんだろう。
「じゃあ日曜に渋谷にでも買いに行ってみるかな」
「シン、私も一緒に行っていい?私もその辺りに用事があるし………」
「ああ、付き合ってくれると助かる、ありがとな」
「お、お礼はいいわよ! あんたが変な物をプレゼントしたら、こなたが可哀想だからよ!」
そう言うとかがみは明後日の方向に首をプイッと向ける。
「はいはい、かがみは可愛いな」
「……あんた、そういうところこなたに似てきたわね………」
オレが笑いながらからかうとかがみは心底嫌そうな顔をする。
とは言われてもあんなリアクションをされると、ついついかまってしまうのは仕方ないだろう。
「まあまあ。とにかく良い物が見つかるといいですね」
「シンちゃん、頑張ってね♪ お姉ちゃんは…頑張りすぎないでね………。
あっ! でもこなちゃんのプレゼント買いに行くんだよね…やっぱりシンちゃんも頑張りすぎないでね」
つかさの意味不明な言葉にみゆきはその意味が分かるのか頷き、かがみは苦笑を浮かべた。