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シンは覚えているだろうか? 一週間後の今日は………
『28日』
「しかしあれだな、G.W.だったっけ? それが過ぎたら7月まで祝日ってないんだな」
「何を今さら」
コントローラを握りながら溜め息を吐くシンに、わたしはゲームの画面を見たまま言葉を返す。
シンはそれが初めての体験だろうけど、わたしにとって、
いやこの国の学生にとっては毎年受けてる絶望感だから、さすがに慣れてくるというもの。
「でも、ほら、イベントがあるじゃん」
「ん? ……思いつかないけど、大事な事か?」
「わたしとシンにとっては重大なイベントだよ」
「オレとお前? ……かがみとつかさの誕生日か?」
「もっと前」
そう言ってシンの顔をちらりとみると、本当に分からないという顔をしてる。
まあ、そんなことだろうと思ったけどね、自分のことは後回し、大切な人のこと優先。
そのシンの考えが嬉しいときもあるし、逆に歯がゆくなることもある。
一応ヒントは言っておこうかな。
「わたし、シンと初めて会った時、今みたいにリビングにいたんだよね〜」
「ハァ? 何が言いたいんだよ?」
シンがわたしの方を見るその一瞬の隙を突いて、わたしはシンのキャラにコンボを叩き込んだ。