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 箱の中身はペンダントだった。

 縁は黒で中心の玉は赤、私はそれを手にとってみる。



「それでかがみの事なんだけど………」

 その言葉に私は視点をペンダントからシンに変える。

 先に話をせずにプレゼントを渡したのは私の機嫌を取るためにしたことなんだね………。

「オレがかがみに口裏合わせてくれって頼んだだけでかがみは何も悪くないんだ」

「随分とかがみを庇うんだね」

 私はシンに皮肉たっぷりの言葉をぶつける。

「そりゃな」

 でもシンは全く気にする様子もなく頷く。

 その行動は私の胸に一本の針を刺す。それはとても苦痛なもの。

 私ははたしてこれ以上耐えられるのかな? この痛みに

 だけどシンの次の言葉は私が予想してない言葉だった。

「そのペンダントを買う時にかがみが手伝ってくれたんだ。

 ペンダントはこなたの好きな色にしてあげろって」

「……えっ!? ………」



 意味が分からない、理解が追いつかない

 かがみはシンの私へのプレゼント選びを手伝って、しかも私の好きな色をシンに教えてくれたってこと? ………。

 確かに赤と黒は私の好きな色で、好きな人の瞳の色、好きな人の髪の色。

 私のために………。

 その時私の手が何かに触れた。

 私は無意識の間に握っていたペンダントの後ろに、何か彫ってある事に気付いた。



 私がペンダントを裏返すと、そこには『SからKへ 日頃の感謝を込めて』と文字が彫られていた。



 ……『K』って私のことだったの………?



「お前を驚かそうとして、黙ってたんだけど。それが怒らせたんだな、ごめん」

 呆然としている私に本当にすまなさそうに頭を下げるシン。



 私の頭の中で次々とかがみとシンの取っていた行動が繋がっていく。

 そして、分かる。自分が勝手で馬鹿な振る舞いをしたことを。



「……アハ…アハハハハハハハ―――」

「こ、こなた? …おかしくなったか………?」

「違うよ、もう!

 ……今年の誕生日はツンデレコンビのせいで最悪だよ!…最悪で絶対忘れられない誕生日だよ!」

「こなた………」



 今、私はどういう顔をしてるんだろ?

 きっと泣きながら笑ってて酷い顔だよ。

 でもしょうがないよ、こんな時どんな顔したらいいかサードチルドレンでも教えてくれないよ!





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